手打ちそば屋は眠れない

しばらく営業を自粛させていただきます。

コロナウイルスによる、
新型肺炎の流行によって、
長野の街も、
実に静かになっている。

 

善光寺に訪れる旅行者もほとんどなく、
長野駅は閑散。
新幹線も、高速バスも、
ガラガラだそうだ。

 

でも、地元で働く人たちは、
仕事をしなければならないから、
朝の、道路の渋滞は相変わらず。
お巡りさんも、
普段通りの、交通取り締まりなんぞをやっていたりする。

 

しかし、街には出歩かないので、
昼も夜も、街の中はひっそりとしているのだ。

 

この病気への、
不安感が、なんとも重たい空気を、
、、、と思ったら、
重くなったのは、私の体だったねぇ。

 

フランスの作家、アルベール・カミュの随筆に、
「シーシュポスの神話」というのがあったっけ。

 

神の罰を受けたシーシュポスは、
山の上に大きな岩を運び上げる。
でも、それは、すぐに転がり落とされてしまう。
そしてまた、彼は、岩を運び上げる。
岩は、転がり落ちる。
彼が岩を運ぶことが、また繰り返される。

 

これは、人間にとって、
最も辛い罰だという。
目的のない労働を繰り返すことが。
何か、そんな罰を受けているような気分。
決して、悪いことは、、、、
う〜ん、少しは、、、
、、いっぱいしているけれど。

 

そんな先の見えない不安が、
私たちを苦しめているようだ。

 

ということで、
この騒ぎで、私の店も開店休業状態。
せっかくそばを打っても、
余らせてしまうばかり。

 

誰かの悪口を言って済む問題でもないし、
「明けない夜はない」などという、
スーパーの売れ残りみたいな楽観論を叩き売りするものでもない。

 

とにかく、今までになかった、
困難に直面しているのだ。
冷静に立ち向かわないとね。

 

一人でも来るお客さんがあれば、
店を開けておこうと考えていてけれど、
さすがに、現状に耐えられなくなってきた。
なので、しばらくの間、
営業を自粛させていただくことに。
当てにしていた方がいらしたら、すみません。

 

その間、
どこかで、密かに、
花見でもしていることとします。
もちろん、想像の中でです。

 

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ペンギンはダチョウに追い抜かれる。

世の中は、どうしようもない状態が続いている。
飲食店は、どこも大変なことでしょうね。

 

で、手持ちぶたさでじっとしてもしょうがないので、
この時間に、少し、体の調子を整えることに。

 

実は、数年前から、心臓の脈の気まぐれに悩んでいたのだが、
昨年の冬に、あまりにひどくなったので、
行きつけの医者に見てもらった。

 

いろいろ調べたが、
病的なものではないそうだ。
このような不整脈の原因は、
加齢の他にもいろいろとあるようだが、
普段の生活習慣の影響もあるらしい。

 

日々の慢性的な睡眠不足も、
その中の一つらしい。
そこで、毎日五時間の睡眠では身が持たない、
ということで、今年からは、夜の営業は取りやめ。
昼のみの営業で、
しかりと、睡眠時間を確保させていただくことにした。

 

今は、いい薬もあるから、
あまり心配しないように、、、
との、先生のお言葉。
そして、最後にキメの一言。
あっ、もう三キロか五キロぐらい、痩せたほうがいいよ。

 

もう先生。
ニコニコしながら、どきっとする事を言うのだから。
それこそ心臓に悪い。

 

確かに、店の中で立ちっぱなしで、
働いているけれど、
全身の運動をしているとは言い難い。
畑仕事に行けるのは、
週に一度だけだ。
山登りだって、年に五、六回しか行けない。
それも、亀のようなノロ足で。

 

この運動不足をなんとかしなければ。

 

だから、仕事が終わった夜に、
街を歩くようにした。

 

ご存知のように、
ただ、漫然と歩いているだけでは、
あまり運動効果はないと言う。
それなりに、早く歩くことが大切だそうだ。
だから、長野の街の中を、せっせと
歩くことにする。

 

どうも私の親戚に、ペンギンがいて、
その血が受け継がれているようだ。
一生懸命に歩いていても、
よちよちとしか歩けない。
速い人は、スタスタと追い越していくのだよ。

 

先日は、たまたま、県庁の退庁時間と重なった。
県庁の皆さん、揃ったように黒いカバンをぶら下げて、
早足で、歩いていかれる。
それが速いのだね。
たちまち、追い付かれ、
追い越され、
離されてしまうのだ。

 

私と同じような小柄な女性も、
携帯電話を見ながら、
腕も振らずに追い抜いていく。
きっとこの人たちは、
ダチョウの親戚なのだろうなあ。

 

1日に1万歩以上歩くといいと言うが、
これは大変だ。
店から、善光寺にお参りして、
長野駅までくだってきて、
また店まで戻れば小一時間はかかる。
それでも歩数は七千歩ぐらい。
ええっ、そんなものなの。

 

それでも、
これを習慣としていくことが、
大事なのだろうなあ。

 

それにしても、
長野の夜の街は静かになっている。
ここのところの情勢で、
特にそうなのだろう。

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街を歩いてみれば、
知らない店ばかり、
ずいぶんと増えている。
こんな店もあるのだなと、
驚かされることもある。
みんな、がんばっているんだね。

 

ちなみに、
私は「歩く」ことをしているので、
「飲み」と言う帽子はかぶっておりません。
誤解のありませぬように。

 

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立ち飲みで楽しむスペイン

私たちがスペインに行ったのは、
一月の中旬から下旬。
その頃のスペインでは、
コロナウイルスの話なんぞなかった。
折しも、中国の正月休暇にあたるというので、
首都のマドリードには、
たくさんの中国人が訪れていた。

 

まだまだ、渡航制限の無かった頃だものね。
私たちが、日本に帰ってから数日で、
中国からのそれが始まった。
既に、イタリアでの感染がニュースになっていたが、
スペインでは、対岸の火事という様子だった様だ。

 

それが、三月になって、
スペインでの感染者が急激に増え、
今では、医療が間に合わない様な事態になっている。
それを考えれば、
いい時に行ってきたものだ。

 

日本国内だって、
これからの感染拡大が心配されるところ。
そんな不安な空気の中では、
人の集まるところは敬遠され、
飲食店は、客足が遠のいている。
かんだた、もね。
かなり、、、。

 

こういう時は、お腹の空かない様に、
動かないでじっとしていよう。

 

で、しつこくスペインの話。

 

スペインで食べるところは、レストランの他に、
バルという店があって、
これがなかなか便利なのだ。

 

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入ってみると、長いカウンターがあって、
そこで、立ったまま一杯いただくわけだ。
カウンターのケースに盛られた料理を、
おつまみとして注文することもできる。

 

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立ったまま、食べたり飲んだりするのは、
我々には抵抗があるかもしれないが、
スペイン人は平気。
立ったまま、おしゃべりに興じている人ばかり。
時間帯によっては、どこも、
人で溢れていたりする。
もちろん、椅子の席もあるのだが、
数が少なく、人気店では大抵埋まっている。

 

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マドリードのバルでは、
飲み物を頼むと、
結構なおつまみが付いてくる店もある。
長居はせずに、
そんなバルを何軒か回れば、
しっかりと夕食がわりになるのだ。

 

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そして注目するのは、
そこで働くカマレロ(女性の場合はカマレラ)たちなのだ。
つまり、スタッフたち。
実にキビキビとよく動く。

 

あるバルなんぞ、女性一人で、
次々と来るお客をこなしていた。
我々の勘定をお願いすると、
きちんと正確に持ってくる。
大したものだなあ。

 

だけど、バルを使う客の方にも、
一つのルールがある。
それは、彼らのやりかけている仕事の、
邪魔をしないことだ。
声をかけたり、大袈裟に手を振ったりしないこと。
そんなことをすると、
永遠に無視されることになりかねない。

 

静かに待っていれば、
仕事の区切りをつけた彼らが、
顔を向ける。
その時に話すなり、ジェスチャーで示せばいい。
そういうタイミングを図ることが大切なのだ。

 

そんなところが、日本の居酒屋と違うところ。
だから、大勢の店内でも、
とても静かな印象を受ける。

 

日本の感覚からすると、
一見、ぶっきらぼうに見える彼らだが、
実は、とてもプロ根性に徹しているのだね。
だから、効率よく、
そして実に、良心的な値段で、
一杯を楽しめる様になっているのだろう。

 

ああ、また、
スペインのバルで一杯やりたいなあ。
などと言いながらも、
とにかく、
目の前の難問と脅威に、、、。

 

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醤油は二年かけて作られる。

先日は、パートさんの研修会ということで、
須坂にある老舗の味噌屋「塩屋」さんの、
蔵を見学させていただいた。

 

ここは江戸時代中期の創業で、
海のない信州で、塩の扱いをしていたのが、
そのまま屋号になったそうだ。
途中から、味噌、醤油の醸造を始め、
今では味噌の製造が主流となっているようだ。

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江戸時代から明治にかけて建てられた蔵が並び、
国の登録文化財に指定されている。

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まず、案内されたのが、味噌蔵。

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私の背よりも、大きな木の桶が並んでいる。
この時期は醸造していないが、
春に仕込んで、夏に寝かし、
秋になって出荷するそうだ。
この木の桶は、今では、
作っているところがなく、
タガを修理するにも苦労しているという。

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味噌を作るには、
塩の力というものが大切だとか。
最初は味噌玉にして、
様々な菌を繁殖させ、
その後塩を加えて、有用な菌だけを繁殖させ、
熟成させるのだそうだ。

 

場所によって、様々な菌が住みついていて、
昔、それぞれの家で作っていた頃は、
同じように作っても、微妙に味が違った。
それが「手前味噌」の謂れなのだそうだ。

 

今は、温度管理された工場で、
短期間に作られる味噌がほとんどだが、
ここでは、昔ながらの木の桶で、
時間を掛けて作られているのだね。

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きれいに手入れされた中庭を通って、
今度は醤油蔵へ。
ここでは、醤油を絞る機械を見ることができる。

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知らなかったけれど、
日本酒と同じように、
醤油も、もろみを袋に入れて重ね、
上から圧をかけて絞るのだね。

 

明治の頃から使っているという、
その機械の古めかしいこと。
長く伸びた木の棒を使って、
ギリギリと絞っていくのだそうだ。

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醤油作りには、いくつかの工程があり、
味噌造りよりも手間がかかるそうだ。
天然の素材だけで作っているので、
熟成して、製品にするまで、
二年もかかるという。
なかなか、醤油らしい色が出ないとか。

 

そんなに時間を掛けて作られているとは、
私も知らなかった。

 

最後に、蔵のなかで、味噌汁と甘酒をいただいた。
発酵という、微生物の不思議を感じながら、
味わう本物の味だ。

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醤油というものも、
こうやって、昔ながらの方法で作られているのだね。
かんだたのそば汁に使う醤油を選んだとき、
取り寄せた数種類の中から、
迷わずにコレに決めたのは、
やっぱり正しかったのかな。
値段は一番高かったけれどね。

 

ということで、
なかなか見ることのできない、
味噌や醤油の製造現場を見せてもらった。
昔ながらのじっくりとした造りをしていることと、
我々のために時間を割いてくれた塩屋さんに、
深く感謝です。

 

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スペインのレストランの注文の仕方を知っていれば、、。

スペインの食べ物事情には、
日本と違った、様々な特徴があるようだ。
それもそうだろう。
遠い外国に来たのだから、
どこへ行っても、
日本にもあるフードチェン店ばかりでは、
ガッカリしてしまう。

 

私が半年過ごした30年前と違って、
確かに、そのような店もスペインで増えているようだ。
観光客の多いところでは、
写真でわかりやすいように、
ワンプレートの料理や、
ハンバーガー、サンドイッチなどのメニューを置くところも多い。

 

でもね、
ちょっと路地を入れば、
落ち着いたレストランや、
庶民的なバルなどがあって、
昼時になると(午後二時ごろだけれど)、
店先に定食の内容を書いた、
ボードが出されるのが普通だ。

 

人気のある店は、
あれよあれよという間に席が埋まっていき、
カマレロ(ボーイ)が、忙しげ動き回っている。
スペイン語のわからない人は、
メニューの前で、戸惑っているうちに、
他の人たちの食事は終わっていたりする。

 

でも、
昼の定食(メヌー・デル・ディア)の頼み方を知っていれば、
たとえスペイン語がわからなくとも、
どんな料理が出てくるのかわからなくとも、
とにかく、スペイン人が食べている食事にありつけるのだ。

 

たとえば、
マドリードで借りたアパートの近くにあったこの店。
すでに、三時近くになっていたので、
覗いた何軒かのレストランはどこも満席。
そこで、いかにも地元の人しか入らないような、
この店に。

 

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ほら、
入り口のボードに、
その日のメニューが書いてあるでしょ。

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注意すべきは、
一番目の料理と、二番目の料理が分けて書いてある事。
スペインのレストランの食事は、
一人が二皿を頼むことができるようになっている。
バルセロナなどの、一部の地域では、
三皿頼めるところもあるようだが。

 

一皿目は、野菜とか、豆の料理、
スープ、卵料理など。
二皿目は、肉や魚のボリュームのある料理となる。
だから、一皿目から、指差しでも構わないから、
一品を選び、
そして、二皿目を選ぶ。

 

そして料理を選び終わると、
「パラ・べベール」(飲み物は?)
と聞かれる。
私の場合はたいてい「ビーノ・ティント」(赤ワイン)。
ビールであれば「セルベッサ」。
水であれば「アグア・ミネラル」。
ブドウジュースであれば「モスト」。
などと注文する。

 

ここで遠慮をしてはいけない。
何しろ、定食の料金の中に、
この飲み物の料金が含まれているのだ。

 

この店では、
とても太ったセニョーラが、
笑顔で注文をとりに来てくれた。

 

注文が終わると、
まず、飲み物がでてくる。
ワインを頼むと、ボトルごとどんと置かれたりするが、
これは、全部飲むことはない。
あくまでも、食事の一部。
自分のグラスに注いでほどほどに。

 

そこで、この店での一品目はこちら。
インゲンとハム。
同行の友人ご夫婦には、
うっすら塩味の野菜のスープ。

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パンは一切れづつ添えられている。

 

これを食べ終わった頃、
二皿目が出てくる。
こちらはチキンハンバーグの、
ほうれん草ソース。
私は、小さなタラの唐揚げ。

 

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これだけ食べれば、結構なボリュームがある。
そして、食べ終わった頃、
セニョーラが「ポストレ?」と聞きにくる。
ポストレとはデザートのこと。
フラン(プリン)とかエラード(アイスクリーム)などがあるらしいが、
すでにお腹いっぱいなので、
コーヒーにする。

 

これで定食は終わりとなる。

 

つまりスペインの定食、
「メヌー・デル・ディア」の中には、
一皿目の野菜料理、
二皿目の肉か魚の料理、
ワインなどの飲み物、
パン、
デザート、またはコーヒー、
が含まれているのだ。
それで、この値段。

10.5ユーロ。

日本円にして1300円ぐらいかな。

もっとも、ここはごく庶民的な店。
観光客の多い地区でも、
20ユーロ前後で用意されていることが多い。
もちろん、高級店に行けば40~50ユーロもする。
まあ、懐の都合で選んで貰えばいい。

ただ、基本的な注文の仕方は、
どこも同じ。

料理の内容というものは、
その店によって違うし、
例え多少のスペイン語がわかったとしても、
出てくるまでは、どんな皿が出てくるのか、
わからないものなのだ。

 

そんなロシアンルーレットみたいな、
楽しみ方をしてみた、
スペインの旅だった。

 

 

 

スペインは世界一健康な国。

アメリカの研究機関の発表によれば、
近い将来、スペインは、日本を抜いて、
世界一の長寿の国になるという。

 

また、別のメディアでは、
世界の健康ランキングで、
一位はスペインだと言う。
ちなみに、このランキングでは、
日本は4位となっている。

 

健康や長寿というのは、
様々な条件があって、
一概に、これが原因だとは言えるものではないそうだ。
でも、スペインという国は、
医療制度の充実や、生活習慣、
社会的な仕組みなどで、
その条件が整っているそうだ。

 

そして、食事も大切な要素のひとつ。

 

少しくらい、旅をしたからといって、
そんなことがわかる訳ではないが、
短い間でも、実にシンプルで、
多様な食べ物を味わうことができた気がする。

 

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市場を覗いてみれば、
豊富な野菜が売られているし、
果物、ナッツ類、豆類も種類が多い。
肉も、様々な形で売られていたが、
同じように、魚介類も豊富だ。
他の欧米の国々では敬遠される、
タコやイカも、ドカンと置かれていたりする。

 

その食べ方も、味付けも、
実に単純なのだ。
焼く、蒸す、揚げる、煮る。
それだけの料理が多い。
強いスパイスに頼ることなく、
複雑な味のソースに絡めることもなく、
素材の味を生かしているような気がする。

 

つまり、
あまり加工食品を使ったり、
人工的な味付けをしていないのだね。

 

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特に、ある種の病気の予防になると言われているオリーブオイルは、
至る所に使われているね。
レストランのテーブルに置かれているのは、
サラダのドレッシング用の3点セット。
オリーブオイルと酢と、塩の瓶だ。
付け合わせのサラダは、自分の好みで味付けする。
これが中々良い。

 

でもねえ、
私がスペイン人は長生きするなあ、
と思ったのは、
そんな食事の内容だけではない。
食事の仕方なのだ。

 

スペインの昼食は午後2時ごろから。
そして、それがその日のメインの食事となるそうだ。
だから、働いている人も、一度家に戻り、
家族と共に食事をとるという。
時間をかけて、ワインを飲みながらね。

 

レストランで食べてもそうだが、
この昼食はとてもボリュームがある。
だから、食事が終わったら、一休みをしなくては。
そう、これがシエスタという習慣。

 

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食事時間の午後2時ごろから4時過ぎまでは、
多くの商店は店を閉めてしまうし、
あれ、お役所だって、銀行だって窓口を閉めてしまう。

 

つまり、食事と、その時間を大切にしているのだね。
日本のサラリーマンの、
スマートホンを覗きながら済ます昼食とは、
大きな違いがあるようだ。

 

そんなことで、
垣間見てきたスペインの食事情。
まだまだ、たくさんあるのだ、、、が。

 

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スペインに行ってきました。

開店以来のまとまった休みをいただき、
スペインに10日ばかり行ってきた。
むかし覚えたスペイン語は、
かなり怪しくなっている。
それでも、ホテルもアパートも自分で予約し、
古くからの友人夫妻と、正月営業の疲れを背負ったまま、
エイと、でかけてみた。

 

アパートとの約束に、
スペイン語でメールを書いたのだが、
返事は英語だった。
だいじょうぶかなあ〜〜。

 

で、今回の一番の目的地は、
サンティアゴ・デ・コンポステーラという、
スペイン北西部の町。
ここは、ヤコブを祀る大聖堂があり、
キリスト教信者にとっては、
巡礼をしてまで訪れる聖地となっている。

 

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折しも冷たい雨が降っていたが、
雨に濡れた古い街は、
独特の落ち着いた雰囲気を持っている。

 

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ここは大西洋に近いということで、
魚介類が豊富。
特にタコが有名なようだ。
柔らかく蒸し上げたタコに、パブリカがかかっていて、
独特の風味。

 

 

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ちいさな赤貝のようなものもいただく。

 

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地元の白ワイン、リベイロは、
日本の盃のような陶器でいただくようだ。

 

そんなことで、スペインの食べ物と雰囲気を味わってきた。
とてもとても、感心したり、
考えさせられることも多かった。
そんなことを、おりおり、
アップさせていただくことにしよう。

 

 

ちょっと一休み

年末から、新年への、

大きな山を乗り切ることができました。

みなさんありがとうございました。

 

ふうー。

 

というところが、

正直な感想。

 

忙しすぎて、このブログすら更新できなかった昨年。

今年は、自分の時間を持てるように、

頑張るつもり。

いえ、

決してサボるのではなくてね。

 

とりあえず、

これから二週間ほどお休みをいただいて、

からだのメンテナンス。

心に油をさして、

少しは動きをなめらかにしたいと思っております。

 

 

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普通のそばは玄米、さらしなは白米。

かんだたでは、さらしな粉を使った、
さらしなそばを「小町」と称して提供させていただいている。
この名前のせいか、何となく、
女性の方の注文が多いような気がする。
確かに、女性好みの、やさしい味なのだ。
もちろん、男性の方も、さらしな好きの方がいらっしゃる。
そば通の行き着く味、とも言われている、、、そうだ。

この「さらしな」のそばは、
けっこう誤解の多いそばのようだ。
「さらしな」って何ですか、
と聞かれる方もいらっしゃるし、
初めて召し上がったという方もいらっしゃる。

ソバの実のデンプンだけを挽き出した粉で、
普通のそばより、色が白い。
モチっとした食感で、甘みが強いそばになる。

よく、聞きかじりに、
一番粉のことだという人がいるが、
それとは少し違うようだ。
確かに昔は、普通に粉を挽いて、
目の細かいふるいを通したものを使っていたみたいだ。

でも、それでは、味のないそばになってしまう。
今では、全く別の方法で、作られているという。
わかりやすく、コメに例えて言うと、
普通のそばは玄米、さらしなは白米。
と言うところか。

それならば、何割ぐらい磨いているのですか、、、
などと聞かれても、
これは、あくまでも、例え話なので。

この「さらしな」を手打ちするのは、
なかなか難しいものだ。

何しろデンプンだけなので、
ただでさえ仲の悪いそば粉同士が、
一緒になってくれない。
そこで、熱湯を使って、
「友つなぎ」と言う方法で、
さらしな粉を練り上げる。

そして、伸びのない生地なので、
それを延ばすのが難しい。

さらしなそばを扱っている多くの店では、
生地を練り上げた後、
ロール式の製麺機に掛けてそばを作るらしい。

先日行った東京の老舗店でも、
普通のそばは手打ちだったが、
さらしなはロールを使っていたっけ。

でも、貧乏なかんだたは、
その製麺機すら買うことができないので、
もっぱら、手で打ち上げるしかないのだ。

おかげで、未だにデコボコのさらしなそばをお出ししていて、
まことに恥ずかしい。
いや、恥ずかしがっているフリをしておこうか。

ところで、「さらしな」は漢字で書くと「更科」。
それが、長野の古名の「更級」と関係あるのか、
と言われれば、、、よくわかりません。
でも、更科に関するエピソードは、
たくさんあるので、またの機会に。

 

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そばの輸入の75パーセントは中国産。

さて、昨年は全国的にそばが不作で、
国産の玄ソバが不足して、
値段が高騰していることを、
前回のブログでお伝えした。
 
どうしても、質の良いそばがなければ、
この夏を乗り切るためには、
外国産を使わなくてはならないかと覚悟していたのだが、
どうやら、その怖れはなさそうだ。

さて、そばの輸入について、
昨年の財務省の統計が出ていた。

玄そばの輸入量は、5万4千トン。
一位は中国で2万5千トン。
次がアメリカで、1万7千トン。
三位がロシアで、8千トン余りとなっている。

アメリカでは、健康食ブームもあって、
そばの栽培が盛んになっているそうだ。
でも、そこで栽培されるのは、
シリアルやクッキー向けで、
淡白な味のそばなのだそうだ。

だから、日本向けに風味の強い品種を開発し、
契約栽培で作られているらしい。
そのため、毎年、ほぼ同じ量が輸入されるし、
価格変動はあまりない。

そう言えば、何年か前に、
そばの農園をやっているという、
体格のいいアメリカ人が、
製粉会社の人とやってきたことがあったっけ。
ちゃんと、日本で食べられているそばを、
研究しているのだね。

ロシアからの輸入は、
ここ数年でグンと伸びている。
もともと、ロシアや東欧諸国は、
そばの栽培の盛んなところ。
粒のままスープにして食べられているとか。
あれ、キャビアも、そば粉のクッキーで
食べるのではなかったっけ。

ところが、商習慣の違いや、
手続きの問題などがあり、
なかなかスムーズにいかないところがあるようだ。
価格も、輸入量も、変動が激しいところだ。

全体に、玄そばの輸入量は、
減少傾向にあるという。
特に、中国からの輸入は減っている。

ところが、日本のそばは、
やっぱり中国の力に頼っているのだね。
玄そばの代わりに増えているのが、
皮をとった抜き(むき実)なのだ。
これらは主に、乾麺などの加工用に使われるらしい。

今や、中国からは、玄そばより多く輸入され、
抜きは、玄そばに換算すると、
5万トンぐらいになるらしい。

一昨年の統計では、
玄そば、抜きを合わせた輸入量の総計は、
約10万トン。
そのうち75パーセントは中国からのものだ。

この中国産の値段は、
以前に比べてかなり高くなっていて、
今や、アメリカ産と同じぐらいになっているとか。
加工業者さん泣かせなのだ。

そこで、たくましき日本の商社は、
新たな産地を求めて、
ブラジル、モンゴルなどからも、
そばを輸入しようとしているとか。

でもねえ。

日本には、
空いている畑がたくさんあるのだよ。
この長野の周辺だって、
少し山の中に入ってみれば、
動物の住処となるつつある、
かっての耕作地がたくさんある。
せっかく、お金と労力を使って切り開いたのにね。

一茶の時代のように、
山の上まで真っ白になるまで、
そばの花が咲き乱れるような風景は無くなってしまった。
今、そばの花が咲くのは、
かって米が作られていた田んぼなのだ。
米も余っている時代になってしまったからね。

値段が安いからと、
遠くのそばを買いに行くのではなく、
なんとか、身近で、
美味しいそばが採れるようになってもらいたいものだ。

 

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