2025年05月

ひっそりと桜まみれ

 
 
毎週水曜日の定休日には、

自宅から車で5分ほどの、
畑に通う。
犀川の河川敷の、
およそ百坪ばかりの畑だ。

その畑に通う、堤防通り沿いに、
約二十本の桜の木が植えられている。
小さかったそのソメイヨシノも、
今は育って、毎年、
目を楽しませてくれる。
その花を見るたびに、
さあ、花見へ行くぞ、、、
いや、行かなくてはと、
心が騒ぐのだ。

桜の花との出会いは、
タイミングが大切。
かの、在原業平(ありわらのなりひら)でなくとも、
この季節は、落ち着かない気分だ。
まして、この時期、
畑の準備に忙しい。
二日間の連休をとっても、
土をいじっているだけで終わってしまい、
花見どころではない。
そこで、もう一日、お休みをいただいた。
まさに「お花見休み」だ。
さあ、どこへ行くか。

この歳になると、
華やかに咲くソメイヨシノは、
どうも、眩しくて目に痛くて仕方がない。
人混みは億劫だ。
世の中の、隅っこに、
こぢんまりと生きている身としては、
どこかに、ポツリと咲いている、
古い桜を訪ねたい。

幸いなことに、
住んでいる長野の周辺には、
時代を生きた、
古い桜の木が、結構残っているのだ。
毎年、少しづつ、そんな場所を巡っている。

この時期に、咲いている場所をと、
探して、バスに乗って出かけようとしたら、
女将が、膝が痛いなどと言い出す。
下僕としては、仕方がないので、
車に乗せて、お運びすることになる。
だから、今回の花見は、
私の苦手な、お酒は抜きなのだ。
苦手は克服しなければならない。
桜の花の下ならば、
そんな苦手なお酒も、
少しは飲めるだろうと思っていたのに、
残念!!!

長野市の東、若穂地区、
やや、登ったところにある古刹、蓮台寺。
その、仁王門前の駐車スペースに、
車を止めた途端、桜まみれとなる。
平成になって再建されたという仁王門に、
被さるように、
樹齢四百年以上といわれる、枝垂れ桜が咲いている。
勢いのある、見事な咲っぷり。
本堂への階段を登って、
鐘楼のある門をくぐれば、
さらに二本の枝垂れ桜が迎えてくれる。

この石段にしても、
こんなに雰囲気のあるお寺が、
近くにあったのだね。

それから、須坂の豊岡地区。
大日向観音堂の枝垂れ桜、
長妙寺の枝垂れ桜、
延命地蔵堂のアズマヒガン。

そして、狭い山道の急坂を登ったところにある、
弁天さんの彼岸桜。
こちらは、標高の高い場所にあるので、
まだつぼみだ。
周りの景色もいいので、
咲いていれば見事だろう。
ぜひ、その時期に来て見たいものだ。

桜を見上げると、
人は呆けたような顔になる。
きっと、桜の花の方から見れば、
相当な間抜け顔に見えることだろう。
そんな間抜け顔を、
あと何回できるのかな、、、。
ああ、そんなことを考える歳になってしまった。
変わりゆく季節を、
大切に味わいながら、
でも、ひっそりと暮らしていきたいものだなあ。
苦手な酒を、いつか克服してね。

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蓮台寺仁王門の枝垂れ桜
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蓮台寺本堂への石段
桜に囲まれて、鐘楼の鐘が、おのずから鳴り出しそうな気配だ。
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大日向観音堂の桜。推定樹齢250年。
少し前まで、もう一本の桜があり、夫婦桜と呼ばれていたらしい。
その根元が残っている。
右側の小さな木は、孫の桜だそうな。
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延命地蔵堂のアズマヒガン。推定樹齢430年。
樹形が美しい桜だ。
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長妙寺の枝垂れ桜。推定樹齢400年。
太い幹が途中で折れて、新しい枝が伸びている。
隣の若い枝垂れ桜も見事だ。
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弁天さんのしだれ桜。推定樹齢250年。
残念ながら、まだつぼみ。
周りの畑の梅の花が咲いていた。