2020年03月

立ち飲みで楽しむスペイン

私たちがスペインに行ったのは、
一月の中旬から下旬。
その頃のスペインでは、
コロナウイルスの話なんぞなかった。
折しも、中国の正月休暇にあたるというので、
首都のマドリードには、
たくさんの中国人が訪れていた。

 

まだまだ、渡航制限の無かった頃だものね。
私たちが、日本に帰ってから数日で、
中国からのそれが始まった。
既に、イタリアでの感染がニュースになっていたが、
スペインでは、対岸の火事という様子だった様だ。

 

それが、三月になって、
スペインでの感染者が急激に増え、
今では、医療が間に合わない様な事態になっている。
それを考えれば、
いい時に行ってきたものだ。

 

日本国内だって、
これからの感染拡大が心配されるところ。
そんな不安な空気の中では、
人の集まるところは敬遠され、
飲食店は、客足が遠のいている。
かんだた、もね。
かなり、、、。

 

こういう時は、お腹の空かない様に、
動かないでじっとしていよう。

 

で、しつこくスペインの話。

 

スペインで食べるところは、レストランの他に、
バルという店があって、
これがなかなか便利なのだ。

 

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入ってみると、長いカウンターがあって、
そこで、立ったまま一杯いただくわけだ。
カウンターのケースに盛られた料理を、
おつまみとして注文することもできる。

 

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立ったまま、食べたり飲んだりするのは、
我々には抵抗があるかもしれないが、
スペイン人は平気。
立ったまま、おしゃべりに興じている人ばかり。
時間帯によっては、どこも、
人で溢れていたりする。
もちろん、椅子の席もあるのだが、
数が少なく、人気店では大抵埋まっている。

 

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マドリードのバルでは、
飲み物を頼むと、
結構なおつまみが付いてくる店もある。
長居はせずに、
そんなバルを何軒か回れば、
しっかりと夕食がわりになるのだ。

 

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そして注目するのは、
そこで働くカマレロ(女性の場合はカマレラ)たちなのだ。
つまり、スタッフたち。
実にキビキビとよく動く。

 

あるバルなんぞ、女性一人で、
次々と来るお客をこなしていた。
我々の勘定をお願いすると、
きちんと正確に持ってくる。
大したものだなあ。

 

だけど、バルを使う客の方にも、
一つのルールがある。
それは、彼らのやりかけている仕事の、
邪魔をしないことだ。
声をかけたり、大袈裟に手を振ったりしないこと。
そんなことをすると、
永遠に無視されることになりかねない。

 

静かに待っていれば、
仕事の区切りをつけた彼らが、
顔を向ける。
その時に話すなり、ジェスチャーで示せばいい。
そういうタイミングを図ることが大切なのだ。

 

そんなところが、日本の居酒屋と違うところ。
だから、大勢の店内でも、
とても静かな印象を受ける。

 

日本の感覚からすると、
一見、ぶっきらぼうに見える彼らだが、
実は、とてもプロ根性に徹しているのだね。
だから、効率よく、
そして実に、良心的な値段で、
一杯を楽しめる様になっているのだろう。

 

ああ、また、
スペインのバルで一杯やりたいなあ。
などと言いながらも、
とにかく、
目の前の難問と脅威に、、、。

 

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醤油は二年かけて作られる。

先日は、パートさんの研修会ということで、
須坂にある老舗の味噌屋「塩屋」さんの、
蔵を見学させていただいた。

 

ここは江戸時代中期の創業で、
海のない信州で、塩の扱いをしていたのが、
そのまま屋号になったそうだ。
途中から、味噌、醤油の醸造を始め、
今では味噌の製造が主流となっているようだ。

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江戸時代から明治にかけて建てられた蔵が並び、
国の登録文化財に指定されている。

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まず、案内されたのが、味噌蔵。

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私の背よりも、大きな木の桶が並んでいる。
この時期は醸造していないが、
春に仕込んで、夏に寝かし、
秋になって出荷するそうだ。
この木の桶は、今では、
作っているところがなく、
タガを修理するにも苦労しているという。

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味噌を作るには、
塩の力というものが大切だとか。
最初は味噌玉にして、
様々な菌を繁殖させ、
その後塩を加えて、有用な菌だけを繁殖させ、
熟成させるのだそうだ。

 

場所によって、様々な菌が住みついていて、
昔、それぞれの家で作っていた頃は、
同じように作っても、微妙に味が違った。
それが「手前味噌」の謂れなのだそうだ。

 

今は、温度管理された工場で、
短期間に作られる味噌がほとんどだが、
ここでは、昔ながらの木の桶で、
時間を掛けて作られているのだね。

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きれいに手入れされた中庭を通って、
今度は醤油蔵へ。
ここでは、醤油を絞る機械を見ることができる。

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知らなかったけれど、
日本酒と同じように、
醤油も、もろみを袋に入れて重ね、
上から圧をかけて絞るのだね。

 

明治の頃から使っているという、
その機械の古めかしいこと。
長く伸びた木の棒を使って、
ギリギリと絞っていくのだそうだ。

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醤油作りには、いくつかの工程があり、
味噌造りよりも手間がかかるそうだ。
天然の素材だけで作っているので、
熟成して、製品にするまで、
二年もかかるという。
なかなか、醤油らしい色が出ないとか。

 

そんなに時間を掛けて作られているとは、
私も知らなかった。

 

最後に、蔵のなかで、味噌汁と甘酒をいただいた。
発酵という、微生物の不思議を感じながら、
味わう本物の味だ。

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醤油というものも、
こうやって、昔ながらの方法で作られているのだね。
かんだたのそば汁に使う醤油を選んだとき、
取り寄せた数種類の中から、
迷わずにコレに決めたのは、
やっぱり正しかったのかな。
値段は一番高かったけれどね。

 

ということで、
なかなか見ることのできない、
味噌や醤油の製造現場を見せてもらった。
昔ながらのじっくりとした造りをしていることと、
我々のために時間を割いてくれた塩屋さんに、
深く感謝です。

 

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スペインのレストランの注文の仕方を知っていれば、、。

スペインの食べ物事情には、
日本と違った、様々な特徴があるようだ。
それもそうだろう。
遠い外国に来たのだから、
どこへ行っても、
日本にもあるフードチェン店ばかりでは、
ガッカリしてしまう。

 

私が半年過ごした30年前と違って、
確かに、そのような店もスペインで増えているようだ。
観光客の多いところでは、
写真でわかりやすいように、
ワンプレートの料理や、
ハンバーガー、サンドイッチなどのメニューを置くところも多い。

 

でもね、
ちょっと路地を入れば、
落ち着いたレストランや、
庶民的なバルなどがあって、
昼時になると(午後二時ごろだけれど)、
店先に定食の内容を書いた、
ボードが出されるのが普通だ。

 

人気のある店は、
あれよあれよという間に席が埋まっていき、
カマレロ(ボーイ)が、忙しげ動き回っている。
スペイン語のわからない人は、
メニューの前で、戸惑っているうちに、
他の人たちの食事は終わっていたりする。

 

でも、
昼の定食(メヌー・デル・ディア)の頼み方を知っていれば、
たとえスペイン語がわからなくとも、
どんな料理が出てくるのかわからなくとも、
とにかく、スペイン人が食べている食事にありつけるのだ。

 

たとえば、
マドリードで借りたアパートの近くにあったこの店。
すでに、三時近くになっていたので、
覗いた何軒かのレストランはどこも満席。
そこで、いかにも地元の人しか入らないような、
この店に。

 

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ほら、
入り口のボードに、
その日のメニューが書いてあるでしょ。

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注意すべきは、
一番目の料理と、二番目の料理が分けて書いてある事。
スペインのレストランの食事は、
一人が二皿を頼むことができるようになっている。
バルセロナなどの、一部の地域では、
三皿頼めるところもあるようだが。

 

一皿目は、野菜とか、豆の料理、
スープ、卵料理など。
二皿目は、肉や魚のボリュームのある料理となる。
だから、一皿目から、指差しでも構わないから、
一品を選び、
そして、二皿目を選ぶ。

 

そして料理を選び終わると、
「パラ・べベール」(飲み物は?)
と聞かれる。
私の場合はたいてい「ビーノ・ティント」(赤ワイン)。
ビールであれば「セルベッサ」。
水であれば「アグア・ミネラル」。
ブドウジュースであれば「モスト」。
などと注文する。

 

ここで遠慮をしてはいけない。
何しろ、定食の料金の中に、
この飲み物の料金が含まれているのだ。

 

この店では、
とても太ったセニョーラが、
笑顔で注文をとりに来てくれた。

 

注文が終わると、
まず、飲み物がでてくる。
ワインを頼むと、ボトルごとどんと置かれたりするが、
これは、全部飲むことはない。
あくまでも、食事の一部。
自分のグラスに注いでほどほどに。

 

そこで、この店での一品目はこちら。
インゲンとハム。
同行の友人ご夫婦には、
うっすら塩味の野菜のスープ。

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パンは一切れづつ添えられている。

 

これを食べ終わった頃、
二皿目が出てくる。
こちらはチキンハンバーグの、
ほうれん草ソース。
私は、小さなタラの唐揚げ。

 

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これだけ食べれば、結構なボリュームがある。
そして、食べ終わった頃、
セニョーラが「ポストレ?」と聞きにくる。
ポストレとはデザートのこと。
フラン(プリン)とかエラード(アイスクリーム)などがあるらしいが、
すでにお腹いっぱいなので、
コーヒーにする。

 

これで定食は終わりとなる。

 

つまりスペインの定食、
「メヌー・デル・ディア」の中には、
一皿目の野菜料理、
二皿目の肉か魚の料理、
ワインなどの飲み物、
パン、
デザート、またはコーヒー、
が含まれているのだ。
それで、この値段。

10.5ユーロ。

日本円にして1300円ぐらいかな。

もっとも、ここはごく庶民的な店。
観光客の多い地区でも、
20ユーロ前後で用意されていることが多い。
もちろん、高級店に行けば40~50ユーロもする。
まあ、懐の都合で選んで貰えばいい。

ただ、基本的な注文の仕方は、
どこも同じ。

料理の内容というものは、
その店によって違うし、
例え多少のスペイン語がわかったとしても、
出てくるまでは、どんな皿が出てくるのか、
わからないものなのだ。

 

そんなロシアンルーレットみたいな、
楽しみ方をしてみた、
スペインの旅だった。