2020年08月

豆腐の角に、、、そばの角に頭をぶつけて、、、めえ!!

カウンターにお座りになったご婦人が、
こんなことをおっしゃる。
「わて、大阪やさかい、
 そばはよう食わん。
 いつもうどんばかり。」

 

そう言いながら、
いざ、そばをお食べになると、
見事な食べっぷり。
すっと、そばを口にたぐり込むと、
舌の上を滑らせて、
喉に落とし込んでいく。
まさに、生粋の江戸っ子の、
そば通の食べ方そのもの。

 

そして、
「そばの方が、角があって、
 気持ちいいなあ。」
などとおっしゃるのだ。

 

この方、いつも、うどんも、
噛まずに召し上がるのだろうか。

 

と思って、後で、他の方に聞いてみたら、
関西や四国では、
噛まずに召し上がる方が、
結構いらっしゃるのだそうだ。
、、、知らなかった。

 

うどんは、そばより太く、
小麦粉を使うこともあり、
ゆで時間はかなり長くなる。

 

そのため、
どうしても、角が取れて、
麺が丸くなりやすい。
だから、ツルツルと食べやすくなるのも確かだが、
やはり、うどんの角の立っているのを好む方も、
多くいらっしゃる。

 

そこで、うどん屋さんでは、
茹で汁にある工夫をして
角が溶けないようにしているのだね。

 

西日本にある、うどんの製麺屋さんも、
大いに研究して、面白いことに気づいたそうだ。
うどんの断面を、正方形にするよりも、
やや長方形にした方が、
角が立って、食感がいいというのだ。
その方の説では、10対7ぐらいが、
一番食べやすいのだそうだ。

 

なるほど、うどん、恐るべし。

 

などと負けてはいられない。
そばの話に戻さなければ。

 

というのは、そばの世界では、
長方形の方が、喉越しがいいことは、
先刻承知なのだ。

 

江戸そばの太さの標準とされるのが、
「切りべら二十三本」。
二十三本というのは、
一寸(約3㎝)の幅の生地を、
23本に切ること。
つまり、1.3ミリの太さの麺となる。

 

切りべらというのは、
伸ばした厚みよりも薄く切ること。
例えば、1.5ミリに伸ばした生地を、
1.3ミリに切るということだ。

 

結果的に、切り口は長方形になる。

 

これを、伸ばす手間を省いた、
職人の逃げという人もいるが、
昔の人も知っていたのだろう、
そうした方が、そばの食感が良くなることを。

 

なお、極端な切りべらは、
麺が蛇のように、暴れるので良くない。
また、生地の伸ばしの方を薄くした「伸しべら」は、
食感が極端に悪くなるようだ。

 

戦後は、そばの手打ちが無くなり、
ロール式のそば打ち機が主流になった。
これで細めのそばをつくると、
みんな丸い麺になってしまう。
そのせいか、食感を大切にする、
そばの食べ方が、だいぶ廃れてしまったようだ。

 

多くの方が、
そばを、ご飯でも食べるように、
口に含んで、くちゃくちゃと噛んでいる。
せっかくの、手打ちのそばの食感を、
舌の上を滑らす感覚を、
もっと味わっていただきたいと思っているのだが。

 

あの、大阪の女性のように、
うどんを召し上がる西日本の方々のほうが、
その点をご理解いただいているのかな、
、、、などと思ってみたり。

 

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