2016年10月

新蕎麦で俳句なんぞ

新そばの季節ですね。
で、新そばにまつわる俳句を紹介。

山国や新蕎麦を切る音疾し
      井上 雪

新そばは、打っていても、滑らかさが違う。
確かに、切るときも、
トントンと気持ちよく切れる気がするね。
このそばを切る音が、
この時期の信州らしいと、
ラジオ局が、音だけ採りに来たりして。


新蕎麦の袋を縫いぬ赤き糸
      長谷川かな女

そば粉は、湿気を調整するために、
紙の袋に入れられ、店に届く。
その袋の口を閉じてあるのが、
赤と白の糸なのだ。
しっかりと縫い込まれているが、
赤い糸を引くと、
サッと、その縫い目がほどけるようになっている。

別に、新そばでもなくとも、
そのように縫った紙袋が届くのだが、
今日から新そばの粉だと思うと、
その赤い糸が、何故か、特別のものに思われるのだね。


新蕎麦やむぐらの宿の根来椀
         蕪村

ちょっと難解な蕪村の句。
むぐらの宿とは、草の生い茂った、
荒れ果てた家のこと。
根来椀といえば、
黒塗りに、朱のウルシを重ねた実用的な器。
さて、そこにどうして新そばなのか。
よく解らないけれど、
なんだか気になる一句。


そば時や月の信濃の善光寺
        一茶

こちらは有名な句。
信州のいいとこ取りというところ。

ということで、
とにかく新蕎麦をお楽しみいただければ。

 

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