手打ちそば屋は眠れない

そばの輸入の75パーセントは中国産。

さて、昨年は全国的にそばが不作で、
国産の玄ソバが不足して、
値段が高騰していることを、
前回のブログでお伝えした。
 
どうしても、質の良いそばがなければ、
この夏を乗り切るためには、
外国産を使わなくてはならないかと覚悟していたのだが、
どうやら、その怖れはなさそうだ。

さて、そばの輸入について、
昨年の財務省の統計が出ていた。

玄そばの輸入量は、5万4千トン。
一位は中国で2万5千トン。
次がアメリカで、1万7千トン。
三位がロシアで、8千トン余りとなっている。

アメリカでは、健康食ブームもあって、
そばの栽培が盛んになっているそうだ。
でも、そこで栽培されるのは、
シリアルやクッキー向けで、
淡白な味のそばなのだそうだ。

だから、日本向けに風味の強い品種を開発し、
契約栽培で作られているらしい。
そのため、毎年、ほぼ同じ量が輸入されるし、
価格変動はあまりない。

そう言えば、何年か前に、
そばの農園をやっているという、
体格のいいアメリカ人が、
製粉会社の人とやってきたことがあったっけ。
ちゃんと、日本で食べられているそばを、
研究しているのだね。

ロシアからの輸入は、
ここ数年でグンと伸びている。
もともと、ロシアや東欧諸国は、
そばの栽培の盛んなところ。
粒のままスープにして食べられているとか。
あれ、キャビアも、そば粉のクッキーで
食べるのではなかったっけ。

ところが、商習慣の違いや、
手続きの問題などがあり、
なかなかスムーズにいかないところがあるようだ。
価格も、輸入量も、変動が激しいところだ。

全体に、玄そばの輸入量は、
減少傾向にあるという。
特に、中国からの輸入は減っている。

ところが、日本のそばは、
やっぱり中国の力に頼っているのだね。
玄そばの代わりに増えているのが、
皮をとった抜き(むき実)なのだ。
これらは主に、乾麺などの加工用に使われるらしい。

今や、中国からは、玄そばより多く輸入され、
抜きは、玄そばに換算すると、
5万トンぐらいになるらしい。

一昨年の統計では、
玄そば、抜きを合わせた輸入量の総計は、
約10万トン。
そのうち75パーセントは中国からのものだ。

この中国産の値段は、
以前に比べてかなり高くなっていて、
今や、アメリカ産と同じぐらいになっているとか。
加工業者さん泣かせなのだ。

そこで、たくましき日本の商社は、
新たな産地を求めて、
ブラジル、モンゴルなどからも、
そばを輸入しようとしているとか。

でもねえ。

日本には、
空いている畑がたくさんあるのだよ。
この長野の周辺だって、
少し山の中に入ってみれば、
動物の住処となるつつある、
かっての耕作地がたくさんある。
せっかく、お金と労力を使って切り開いたのにね。

一茶の時代のように、
山の上まで真っ白になるまで、
そばの花が咲き乱れるような風景は無くなってしまった。
今、そばの花が咲くのは、
かって米が作られていた田んぼなのだ。
米も余っている時代になってしまったからね。

値段が安いからと、
遠くのそばを買いに行くのではなく、
なんとか、身近で、
美味しいそばが採れるようになってもらいたいものだ。

 

1-2