2017年01月

遠い国からのお客様

 この冬に、京都に行ってきました。  

 何しろ京都に行くのは、何十年ぶりです。女将なぞは、修学旅行以来とのことです。

 ということで、つい、清水寺とか、伏見稲荷とか、祇園などの有名な観光地を巡ってしまいました。

 冬の寒空なのに、どこも、多くの人が訪れています。それぞれに、カメラを構たりして、日本の伝統的な風景を楽しんでいました。

  でも、聞こえてくる言葉が、どこか違うのです。最初は、どこかの方言かなと思いましたが、よくよく見ると、どうやら、外国から来られた方々みたいです。

 伏見稲荷などは、あでやかな着物姿で歩いている人たちも多く見かけました。だけれども、どうも、歩き方がぎこちない。最近の若い人は、着物なんぞ着付けないからなあ、などと思っていたら、その方々も、アジアの何処かの国から来られた方々でした。

 あとで知りましたが、京都では、外国人旅行者のための、着物のレンタルが流行っているのだそうです。

 清水寺にある、有名な音羽の滝には、長い行列が出来ていて、その殆どが、台湾、中国、韓国などからの旅行者の方々のようです。みなさん、長い柄杓で水をすくって、写真を撮られたりして、楽しそうにしていました。

 

 

 

 近頃、日本を訪れる外国人旅行者が増えているとのニュースを聞いていますが、ここまで多いとは思いませんでした。外国人に人気の京都ならなのでしょう。

 そういえば、長野でも、善光寺においでになる外国人の姿を、多く見かけるようになりました。

 そして、路地裏の見つけにくい私の店まで、入ってこられる方もいらっしゃいます。勇気がありますね。  

 さすがに、たいていの方は、何度かそばを召し上がった経験があるようで、箸も上手に使われます。でも、そば湯をお出しすると、なにに使うのか知らない方が多く、説明するのに苦労します。

 「え〜と、アフターイーティング、ソバ、、、、」などと、あやふやな英語と、身振りでカバーしながら、伝えます。

 また、二階は座敷になっております。座るのが苦手な方もいらっしゃいますが、多くの方は、面白がって、床に座ってくれます。

 中には、まったく、そばというものを知らないで入ってこられる方もいて、写真のメニューを見て、戸惑っている方もいらっしゃいます。

 日本びいきの息子さんに連れられたドイツのご夫婦は、どうも箸が苦手のようでした。息子さんが構わず、そばを手繰っているのを横目に、箸をギュッと握って召し上がろうとしていました。調理場の隅からフォークを探し出してお渡しすると、ホッとしたように、それを使い始めました。 

  また、韓国の方は、器を持ち上げて食べない習慣なのだそうで、丼にはスプーンを付けて、汁をすくえるようにしています。

 外国の方にはベジタリアンの方も多く、魚の汁はいいのか、確かめながらメニューをオススメします。

 アレルギーの方もいて、日本語で書かれたカードを示される方もいらっしゃいます。

 そうやって、遠くから来られて旅をするのは大変なことだと思います。

 

 

 考えてみれば、私も、若い頃に、一人で外国を旅したことがあります。言葉も通じないのに。

 フランスやスペインの田舎町では、レストランのメニューが、全くわからず、勧められるままに、適当に指差して注文しました。

 はたして、それがどんな料理なのか、実際に出来てくるまでわからないのです。食事をするごとに、ロシアンルーレットをやっているみたいでした。

 でも、外れることは、ほとんど、ありませんでした。

 若かったこともありますが、地元の方々が、いつも食べている料理ならば、たいてい美味しくいただくことが出来ました。

 食べ物の美味しさって、世界中どこでも似通ったものがあるのかもしれません。

 そんな自分のことを思い起こしてみると、店に来られる外国の方の気持ちも想像できます。きっと、期待と不安な気持ちでいっぱいなのでしょうねえ。

 いまさら英語はよく話せません。だから、せめて、写真付きのメニューでも用意して、気持ちよくそばが食べられるように努めたいと思います。

 帰り際に、覚えたての日本語で「おいしい!」と言ってくれる方もいらっしゃいます。こうして少しでも、「SOBA」という言葉が、世界中に広まるといいのですが。